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 『子供の貧困Ⅱ』 (つなぐ図書館 No.002)

子供のウエル・ビーイングのために!子供の笑顔で溢れる未来を目指して

子どもの貧困II――解決策を考える (岩波新書)

子どもの貧困II――解決策を考える (岩波新書)

子どもの貧困について様々な取り組みが始まっている中、具体的にどのような政策を打てば子どもの貧困は解決するかという問いには決定的な答えは見つかっていません。阿部先生の子どもの貧困Ⅱは子どもの貧困政策に関する国内外の研究のこれまでの見地と洞察が総動員されていて、現状を知った上で、身近なことで子供達に何ができるかを考える機会になりました。

 


 

貧困はその子どもや家族にとっての困難であるだけでなく、社会全体の利益から見ても損失です。
多少の増減はあるものの貧困率は上昇していて単なる景気動向に影響されているものではなく、子供の貧困率の上昇のペースが社会全体の貧困率の上昇のペースに比べて早くなっています。
人生の中で最も貧困リスクが高い時期が子供時期です。子供時期の貧困はその後の人生に深い爪痕を残してしまうのです。

 

■日本の貧困の特徴

日本の貧困の特徴は、ワーキング・プア(働いているのに所得が貧困基準を超えない人々)が多く、その背景には巨大な低賃金の非正規労働層が存在しています。母子世帯の母親の場合、8割以上が就業しているが子供を抱えての正規就労は難しく半数は非正規就労です。
多くのひとり親が就業しているにも関わらず、ひとり親家庭の子どもの貧困率は54.6%(平成24年)なのです。

また、子供の数、親の学歴なども影響してきます。子供が3人以上になると貧困率が20%となり、家計は苦しくなっています。親の学歴による格差も明らかで、親の学歴が中卒の場合は、貧困率は45パーセントと半数近くになり、貧困の連鎖も読み取れます。

日本は世界の中でも教育レベルは高いと信じられてきましたが、21世紀に入り、義務教育で当然のごとく身につけているはずの基礎的な学力さえも習得できていない子どもが増えているのです。

健康状態においても休み中は十分な栄養が取れないため夏休み中に痩せてしまう児童生徒がここ数年増加していて32本中20本が虫歯になっていても歯医者に行けない。生活が大変になると最初に切ってしまうのが医療費なのです。

 

■家庭が貧困のであることが及ぼす影響

さらに恐ろしいのは、その影響が学力や、学歴の格差に留まらない点です。
親や家庭内のストレスにより、子どもの身体や心理に悪影響を与えてしまうのです。家庭の中にストレスが満ち溢れ、心にゆとりのない生活が続くと最悪の場合は児童虐待につながってしまうケースもあります。

また、親同士が頻繁に対立したり争ったりすることによって、子供は葛藤状態に対する感度が低くなり、敵対的な態度をとることが適切な対応であると思い込み対人関係に問題を抱えるようになるとも言われています。

家庭に勉強机がない、不安定な生活で学力が上がらない、みんなが持っているゲームがない、衣服が古い、それらのことがいじめの原因になったり仲間はずれになったりして、本人の自己肯定感が傷つけられ、自信が持てなくなってしまう。貧困層の子供は親からの期待も低く、頑張っても仕方ないという意識がめばえ自分は生きていてもしょうがないと思うようになってしまう。
なんて悲しいことでしょうか。

さらに、貧困層の親は社会的に孤立している割合が高く、親の孤立は児童虐待などを引き起こすリスクをはらんでいるだけでなく、親が子育てに関する情報を収集できず、子どもが同世代の子供と遊ぶ機会を少なくしてしまいます。
現状を知り親の精神のサポートの必要性を強く感じました。子供に対しては家庭環境を外からの介入で改善できるはずだと。

近年急速に広がっている個別の学習指導は子どもの学力向上を目指しつつ、それよりも大きな効果として子どもが自分と1対1でじっくりと付き合ってくれる大人を持つことにより、信頼感を回復し、コミュニケーションの能力が向上しています。また解けなかった問題が解けるようになる経験を積み重ね忍耐力が養われています。

 

■私自身の経験

子ども一人で夕食をする事がないよう、夕方以降家族が一緒にいるのは子供の成長にとって何よりも大切であると子育てしながら思っていました。

私達つなぐいのち基金でも、地域ぐるみで子ども達を育てていた昔のように
シニアのボランティアの方々のお力を借りて、地域のネットワーク作りができたらと考えます。
私自身、ネグレストにあったお子さんと2年ほど過ごし心身ともに傷ついた子どもたちが思わぬ行動や言葉で大人たちを試す事も経験しました。
それは寂しいから、それは誰も自分のことを気にかけてくれないと思ってしまっているから。

近い距離になればなるほどに傷ついた子供たちが投げてくる直球は痛いです。
それでも無条件に受け入れて、愛情を掛け続けることはとても困難であることも解っています。
けれど子供のことを気にかけている大人はたくさんいます。

 

■子ども食堂をつなぐ

経済的な理由から、家で満足な食事を取れない子どもに食事を提供する、民間初の取り組み、子ども食堂は全国に広がっています。

<参照:全国の子ども食堂に関する取り組み>
子ども食堂ネットワーク   http://kodomoshokudou-network.com/
(こども食堂ネットワークは、地域でこども食堂を運営している人たちが交流をし、こども食堂の輪を広げるための連絡会です。)

趣旨に賛同した地域のボランティアや子育て支援などに携わる大人が運営に参加し、食材は寄付、調理は地域のボランティアのおじいちゃん、おばあちゃん、おじちゃん、おばちゃん、お兄ちゃん、お姉ちゃんなどが月に1回〜4回ほど温かいご飯を作って子供たちを待っていてくれます。

本当に困っている親は人に頼れず、社会との接点がないままに個で生きていることが多いです。それは支援を求めても自己責任と言われがちな風潮を知っているゆえ、傷つかないためにも支援を求められないでいます。支援の敷居を下げて、ご飯を一緒に食べるという身近な支援で親も、子供も一人にならず、つながることができます。

 

■つなぐいのち基金の今後の取り組み

私たち公益財団つなぐいのち基金でも心ある高齢者の方々に自主的に子ども食堂を開催していただけるよう後押しし、現在、変更認定申請中の公益目的事業の中で「子ども食堂のための応援基金」などを設定して支援の呼びかけができればと考えています。(2016年8月末現在)

一人でさびいしい思いをしている子供たちをいつも見守り、トラブルがあった時に寄れる場所が全国にできますように。
朝元気に「おはよう」と声をかけ、学校帰り「おかえり」と笑顔で声をかけるだけでも子どもの気持ちはあたたかくなります。
声をかけた大人の気持ちもあたたかくなります。

みんなが繋がって行けばきっと幸せな子どもが増えると信じて日々動きます。

(代表理事 鵜居 由記衣)