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徹底調査 子供の貧困が日本を滅ぼす (つなぐ図書館 No.004)

社会的損失40兆円の衝撃 日本財団子どもの貧困対策チーム

徹底調査 子供の貧困が日本を滅ぼす 社会的損失40兆円の衝撃

 

私自身の経験を申し上げますと、新聞奨学生や非正規社員などを経験したこともあるので、 こどもの貧困や経済格差などが報道されると、「自分は助かったけど他の人は大丈夫かな」などと思ってしまうことがあります。私のように運よく、社会に出てから色々な方に助けられた人もいれば、 そうでない方も大勢います。

普段、私たちのような一般人の方が、「ジニ係数」とか「最低賃金」などといった言葉を聞いても、実感として貧困や経済格差という問題が有ることを実感できることは少ないかと思います。

また時々メディアで、「自助努力が足りないだけ」とか「自己責任だ」、「非正規雇用は望んでなっている人もいる」とか簡単な言葉で押し切ってしまう場面も見られることが残念に思います。

 

|「日本の子供の貧困の状況」

日本の子供たちの6人に1人が貧困状態にあると言われています。この状況があまり知られていない理由は、日本の貧困の多くが相対的貧困であるため、子育て世代の年収が200万円程度と聞いても、生活できないほどの貧困と認識されないかもしれません。しかし、年収200万円の世帯では子供の教育格差が生じ、子供が社会に出た後の、生涯年収の差が貧困でない子と大きな差が生じてしまいます。

親の所得格差で子供の将来が大きく左右される社会が本当の意味で先進国と言えるでしょうか。先進国の子供の貧困のイメージはジャンクフードばかり食べている、不健康な子供を連想してしまいますが、実際にはジャンクフードすら買えない家庭もあり、最近になって「こども食堂」というボランティアの方々によって運営されている、無償もしくは低価格の食堂が日本全国に増えているようです。

 

|「都道府県別でも貧困のレベルが大きく違う」

貧困問題は地域格差も大きく、日雇い労働者の町で有名な大阪のあいりん地区は有名ですが、都道府県別では、沖縄県がもっとも子供の貧困の影響が見られる地域です。沖縄県は日本経済が成熟してから日本政府に返還されたため、大きな産業が無く、米軍基地に依存した経済のため、一人当たりの所得は47都道府県中、毎年最下位で、また本土から離れた島であるため、輸送コストが物価を押し上げています。沖縄では所得の低さと、物価の高さが貧困に拍車をかけている状況です。

逆に子どもの貧困のレベルが低い都道府県は所得の高い東京都ではなく、秋田県や、富山県などの日本海側に多いようです。統計から読み取ることができませんが、日本海側の豪雪地帯は、昔から一人で孤立して生きていくことが困難な地域のため、今でも地域内でのつながりが強い地域なのかもしれません。その雪国育ちの私が昨年、沖縄と大阪に行ってきたのですが、繁華街には観光客でにぎやかで、物乞いや靴磨きなどをしている子供を見かけることはなく、確かに目に見える形でこの地域の貧困問題が深刻だと感じることはできませんでした。

 

|「子供の貧困が広まった背景」

子供の貧困率はここ30年間ほぼ右肩上がりで増え続けています。貧困状態にある家庭の親は、ワーキングプアの人たちが多く、そのほとんどが非正規雇用の方です。非正雇用はほとんどの方が望んでいる雇用形態でなく、景気の悪い時期に就職活動をしなければならなかった人や、企業の正社員採用枠の縮小などが原因で、仕方なく非正規雇用を選ばざるを得なかった方が多いと思います。

また子供の貧困がここまで広がってしまったもう一つの背景には、日本人の他者への無関心や、自己中心的な強欲主義、物質主義が一つの原因としてあるのではないでしょうか。そのため、昔なら地域の大人達も一緒になって見守っていたような、子供達への育児放棄などが、近年になって多く見られることが非常に残念に思います。

 

|「子供達の将来に向けて」

国家財政が厳しくなっていく状況の中、貧困対策や児童福祉の予算も大幅な増額が期待できない状況なので、国の新たな政策を待っているのでなく、貧困や経済格差の現実を知っている大人が主体的になって活動していく必要があると思います。貧困や経済格差の問題を他人事としてではなく、将来の日本のGDP減少や、政府の税収の減少に関係してくると考えると、他人事として考えることはできないのではないでしょうか。また、ハンデを背負って生きている人達は、遠回りすることもあるかと思いますが前を向いて進んで、まずは自立できる状態になってから、相互依存出来る人になってほしいと思います。

 

(つなぐサポーター ITプロボノ 松尾 達彦)