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『IFCA(International Foster Care Alliance)』インタビュー

平成24年度 助成先レポート

助成先レポート 『IFCA』インタビュー

IFCAとは?

真に「子ども中心」な児童福祉の実践と、虐待を受けた子どものケアにあたる人たちの支援のために、専門職に就く人たちが連携し、日本とアメリカの施設や肉親家庭で育つ子どもたち、そして、フォスターケアを離れて独立した若者たちの交流と恊働を実現させる為に活動しているNPO法人です。

IFCA:http://www.ifcaseattle.org/jp/boardofdirectors.html
※つなぐいのち基金2012年度助成先

 

IFCA活動インタビュー

つなぐいのち基金:「IFCAさんは、どのような経緯で設立されたのでしょうか。」

IFCA:「IFCAの代表の粟津はアメリカで20年間、ソーシャルワーカーとして働いていました。そこでは虐待や育児放棄を受けて育った子どもたちが児童養護のシステムから離れ、自立していくことの難しさを目の当たりにしてきました。

そこで、日本とアメリカのフォスターユース(十代の里子)と、施設出身者たちが自らの体験を自由に語って意見を交換する場を作ること、そして児童福祉にたずさわる方々が両国の児童福祉の向上のために語り合う場を作ることを目的としてこの団体を立ち上げました。

IFCAはとても小さな団体ですが、団体を立ち上げた昨年にトラウマフォーカスト認知行動療法(TF-CBT)のトレーナーをアメリカから日本に送るという日本初のプロジェクトを実施しました。TF-CBTはトラウマ治療法としてアメリカでその成果が認められ、いま日本でも注目を集めている療法です。

この療法の正式トレーナーを招致し、仙台・東京・和歌山で臨床心理士や精神科医が参加するワークショップを実施しました。 」

つなぐいのち基金:「日本初の取り組みとはすごいです!社会的養護の面でアメリカと日本をつなぐ役割をなさっているのですね。アメリカの児童養護の体制も、日本と同様に施設での受け入れが一般的なのでしょうか? 」

IFCA:「いいえ、アメリカでは施設で生活する子どもは少なく、大多数が里親のもとで、暮らしています。そして行政だけではなく、専門知識を備えたNPOや民間の団体が里親支援に積極的に関わり、お互いに高め合っています。

しかし、これだけ里親の支援があり受け入れられる子どもの数が多くても、里親はまだまだ足りないと言われています。というのも、保護されるべき子どもの数が多いことももちろんですが、里親が引き取った子どもと養子縁組をして正式に家族となり、その時点で里親を辞める方も多くいるからなのです。 」

つなぐいのち基金: 「家庭環境で育てられる子どもが多いのですね。養子縁組は法律的にはなかなか難しいのではないでしょうか」。

IFCA:「決して簡単なものではありませんが、日本と比べると比較的しやすい体制にあるのではないでしょうか。日本の場合は親権が非常に強く、里親と長年生活を共にしている場合でも、戸籍上の親が子どもを引き取ると言ってきた場合に対抗するのが難しいのが現状です。

アメリカでは里親に親権が与えられ、引き続き支援も受けることができます。やはり里親は一時的なものであるので、永続的な関係を持つことのできる養子縁組を目指す里親の方が多いですね。

日本では施設から里親に預けられる子どもはまだまだ少なく、里子になるのは乳児院にいる子どもがほとんどです。乳児院からは3割ほどが里親に預けられ、残りの7割の子どもは2歳を迎えるとそのまま児童護施設に移ります。

今は最長で18年間施設にいることになるのですが、その間ずっと「おうちに帰れるように頑張ろうね」と声掛けをしていくんです。子どもが成長するにつれてだんだんと状況を把握し、諦めていく子どもを私はたくさん見てきました。

そんななか、やっと自分の進みたい道を見つけたとしても本人の努力だけでは解決が難しい問題が立ちはだかったりするのです。たとえば、大学に進学したいと思った子どもがいたとします。安定して大学に通えるだけの資金を集めるにはお金を貯めなければならず、高校生活でやりたいであろうことを我慢してアルバイトに励まないとそれだけの額のお金を稼ぐことができない場合がほとんどです。

また、高校2、3年生になってから進学したいと思ったとしても、わずかな時間では勉強と学費を稼ぐことの両立が難しい上に、援助してくれる人もいないので、進学を諦める。このような問題があちこちで起きていて、子どもたちの未来の選択に制限がかけられてしまうことがあります。」

つなぐいのち基金:「そうなんですね。里親の方にも、社会的にサポートされる立場にある人、つまり社会的養護の当事者の人たちも、周りからより多くのサポートが必要なのですね。」
IFCA:「はい。アメリカでは、社会的養護の当事者の人たちが集まって自ら自治体や州議会などにはたらきかけ、後輩のためにより良い制度を獲得してきました。日本でも、サポートが必要なら作ろう!ということで、社会的養護の当事者の方々が、同じような境遇の人たちが集まって話をしたり相談をすることができる場所を作る動きが広がってきています。

日本とアメリカの社会的養護の当事者をつなげ、意見交換をすることで今後の彼らの活動の発展を促していければ良いなと思います。まずは今年の9月に IFCO の世界大会が大阪で開催されるので、その場に IFCA から数名ですが社会的養護の当事者の方を選定し、招待する準備をおこなっています。

IFCO は International Foster Care Organization(国際フォスターケア機構)といって、社会的養護の当事者、里親、施設関係者や行政関係者などの支援者が集まり、講演やワークショップを通して社会的養護の質を高めるという課題に向かって共に学び合う国際的な大会です。

この大会がアジアで開催されるのは初めてで、日本での社会的養護への関心が高まっている今、多くの人がこの社会的養護の在り方についてより良い方向に持っていく方法を考えるきっかけになればと思います。」

つなぐいのち基金: 「なるほど。では、今後もアメリカと日本の架け橋となる活動をされていくのですね?」

IFCA:「そうですね。IFCAは
①社会的養護の当事者たちの協働の促進
②里子のケアにあたる人たちへの支援
③児童福祉の仕事に携わる人たちへの情報交換の場の提供
この3つを大きな柱として活動を進めていきます。」

つなぐいのち基金:「アメリカと日本、文化や制度は違いますがお互いに抱えている問題は非常に似ていて、それを対処していくためにそれぞれが力を合わせて動いていることが分かりました。本日はどうもありがとうございました。」