助成先取材レポート

リトルワンズがつなぐ地域と親子のコミュニティ

助成先取材レポート リトルワンズ

郁文館グローバル高等学校 福祉ゼミとの協働プロジェクト「あいりすプロジェクト」の活動として
高校生と一緒に2017年度事業対象の助成先団体 のインタビュ-取材と助成事業の進捗状況の確認にお伺いしたものを取材レポートして報告いたします。

 

【高校生 インタビュー取材】

私たち、郁文館グローバル高等学校3年生と1年生各1人は10月5日に公益財団法人つなぐいのち基金の助成先であるNPO法人リトルワンズに訪れ、取材・インタビューさせていただきました。

 

■NPO法人リトルワンズ

まず、リトルワンズさんについて紹介させていただきます。
NPO法人リトルワンズは、都内を中心にシングルママ、シングルパパをサポートしている団体です。
フェアであること、即応性を重視すること、ネガティブにならず楽しんで対応すること、フレキシブルに対応することをモットーに活動しています。 

 

|■特定非営利活動法人リトルワンズ (HPより引用)

 

法人の目的

親の貧困が防げれば、子どもを貧困から開放できます。お母さんの職と身体に余裕が生まれ、子育てにも十分な時間と費用が掛けられれば、子ども達も安心して暮らせます。
就業に向けて、のスキルアップの機会の提供、メイク方法、面接スキルの教授。生活の基盤となる住居も、アパート、マンション、シェアハウスを提供していきます。

ネットが普及し、教育の機会自体はフェアになってきましたが、経済的な格差は「体験」の格差を生みます。人、技術、チャンス。すべてを巻き込んだ仕組みで、子ども達の「体験」を応援し、格差をなくしていきます。

子どもは未来の主人公。子どもの貧困を解決することは、日本の将来を明るくすることにつながります。「日本にも子どもの貧困がある」という事実を伝え、子ども達への将来への投資を促していきます。

活動概要

〇交流会
定期的に交流会をしています。ママ同士のお友達作りや情報交換の場として大人気です。衣   替え時期の服の無料プレゼントもあります。
〇毎月イベント
BBQ、親子ハイキング、旅行、クリスマス会など、毎月親子とイベントをしています。
〇相談
お仕事、お子さんの学校のこと、法律のことなど、どんなことも相談に応じます。専門家にも お繋ぎします。
〇お部屋探し
お部屋を探すのは難しいですよね。リトルワンズは、敷金礼金なしや保証人のいらないお部屋など、ご希望にあったお部屋をお探しいたします。もちろん、無料です。
〇ココミナ
仕事、住居など生活に関わる情報と申し込み、行政への申請時期をお知らせ、各種手当の計算ができるほか、子育ての悩みを気軽に相談できます。母子家庭に必要な情報と支援の全てがワンストップで手に入るサイトです。「ココにみんなある」が名前の由来です。登録無料!

 

NPO法人リトルワンズ HP http://www.npolittleones.com/

 

 

■ 活動の中で大変なこと

一番の問題は、情報が行き届いていないことです。現在は、シングルママは国から支援金がもらえますが、そのことをシングルママの約4割しか知りません。更に場所や機会がないことも課題となっています。その影響で様々な差異が生じてしまうことも問題です。ご紹介した「ココミナ」のホームページにて、児童扶養手当支給額のシミュレーションができますので参考にしてみてください。

■ 活動開始から変わったこと

本人が一人親家庭ではない非当事者である男性がこのような活動をすることは、戦後初だったそうです。その中で、少しづつ仲間が集まったことが大きな変化の1つです。また、このような活動が広がってきたことも大きな変化でした。最近では子育て支援の活動もしていて、シングルママだけでなく一般の家庭との関わりが増えてきました。

 

 

取材を通じて学んだこと

私は今回取材をさせていただいて、片親家庭に対しての知識が深まりました。それまでは、教育の格差や将来の選択の幅が狭まることなど、一般的なものしか知りませんでしたが、取材の中で、そもそも情報を手に入れる手段や機会がないことを学びました。私は、国民がその現状を知ることや、それを解決するための手段をシングルマザー自身が知るきっかけを国や政府のみならずNPO法人なども協力して作らなければならないと考えました。(高校三年 A)

私は今回取材をさせていただいて、貧困は何もしなければ連鎖を起こしてしまうことを再確認できました。貧困が連鎖してしまうことは知っていましたが、どうしたら防げるのか、ということを知りました。貧困家庭には心の余裕もないと思うので交流会などを通して悩みを共有することで心の余裕を持てるようになることで貧困から抜け出すことができると考えました。こういった施設を増やしていけるといいと思いました。(高校一年 H)

※ 高校生のプライバシー保護のためイニシャルとさせていただいています。

 


 

【公益財団法人 助成選考委員会 選考委員 よりご報告】

◇助成対象事業

(申請書より抜粋)
母子家庭子女の7割が経済的理由で部活動を諦めた経験がある。厚生労働省統計によると、日本の子供の貧困は6人に1人であり、その半数が一人親家庭で育てられている。ネットの普及により、オンラインでの無料講義は視聴できるようになってきており、学習を受ける機会は公平に近い。また、学校でも無料の補講を提供したり、地域でも学習支援の場は増えてきている。

一方で、「体験」の格差は広がっている。保護者の経済状況が豊かであると、子供に対する機会提供の幅も広がり、頻度も多くなる傾向がある。経済的に厳しい状況の保護者は、子供に対しての機会提供は少なく、幅も狭い。体験とは、将来の備えとして、豊かな人生をおくるためとしても必要な学びであり、子ども時代に機会が失われることは、将来にマイナスの影響を及ぼしかねない。

日本では、奨学金制度があるが、高校生からと限定されており、その使途も学業に特化している。スポーツや文化的な事業についての奨学金は、プロを目指す者、もしくは相当する技術を持つ者にのみ送られている。奨学金制度のない小学生や、一般的な中学生には、体験の機会は極めて少なく、経済的な理由により部活動を行えない子供が多い。

東京都内を中心に募集をし、21名に支援を行ったが、これが関東に広がることを考えると、
①より多くの母子家庭子女に普及することができる
②母子家庭にとって入学時の費用負担の軽減、子供達にとっては部活動を経済的理由で辞めないための防護柵が出来る。
③体験の格差を埋める一助となる。
母子家庭の子女の多くは、経済的理由により部活動ができなかったり、途中でやめてしまうことが多い。これを防ぐ大きな一歩となりえる。

https://littleones-lesson.com/

 

◇助成事業の実施状況

経済的理由により部活動が行えない小学生中学生の母子家庭子女に対して、当団体では「小さな一歩応援奨励金」を設立。昨年度から21人に部活動に関わる費用に助成を行った。

本取組は既存の学習支援では取りこぼされている領域に対して、初めて光をあてたものであり、これをより効率化、普及するためにウェブサイトの構築を行い、さらに申し込みがしやすくするのが本事業の目的である。ウェブサイトからの広報のほか、講演やイベントでも体験の格差とその是正を訴えていく。

ウェブサイト構築は情報の普及だけではなく、機会の提供、支援者の確保はいずれも必須であり、母子家庭子女にとってもフェアで受けやすい体制づくりを行っていく。「母子家庭子女は習い事を受けられないほど困窮している」「部活ができない自分たちを支援してください」など、母子家庭子女にスティグマを付けるような広報、講演、ウェブサイト作りは絶対に行わない。

IT技術を応用した「告知」「募集」「効果発表」「コミュニケーション」「寄付」が一括して行えるサイトを構築する。効果発表は、いままで実績をクラウドファンドページの用に列挙し、個人情報が特定されないように写真や子供からの要望は加工していく。

<対象者> 
一人親(小学生以下)、離婚直後のアマチュア一人親、一般対象。社会人、シニアなど。

<成果>
★習いごとや部活をしたい時に頼るべき場所がわかる(母子家庭、母子家庭子女)
★部活をできない子供に対して頼れる場所を教えられる(行政)
★支援と、効果がすぐにわかるサイトができる(一般、支援者)

 

◇活動でどんな効果を期待してるのか?

ウェブサイトができることにより、募集と選考のコストがかからなくなってくるため、将来的には全国へも対応が可能となる。現状では、小中学生の部活動への支援に関しては、行政から補助がでていない(千葉県南房総市を除く)。行政と連携し協働で運営したり、行政にノウハウを提供し運営してもらったりと、母子家庭子女が習い事を諦めないようなスキームを各地で構築できる。

 

◇小山代表にお聞きした非認知能力について

・家庭の教育レベル
・場所と機会
・今の時代のあったものであること
・行政のエリアと年齢帯での区分けになっているので難しい面がある
・子どもの学習支援は高校生対象が多いが、効果があるのは幼児からということを意識することも大事
・ローカライズすることも大切

 

◇助成選考委員会 選考委員から

当財団にて選考させていただいた助成先団体は、その後「子供の未来応援基金」で採択されるという傾向がある。4年間の助成先である16団体の内、実に5団体が選ばれている。
(つなぐ助成先から3割以上が採択されるという凄い数字になっている。子供の未来応援基金に選ばれたかったら、まずつなぐに応募するなんてことが言われる日が来るかもしれない・・・。)

今年は、昨年に引き続き3団体が連続採択となり、2017年度助成先であるリトルワンズさんも新たに採択となった。小山代表をはじめリトルワンズのみなさんおめでとうございます。

柔軟な思考と鋭い視点を持つとても魅力的な人物である代表の小山さんとのお話の中で、当財団も必要性を強く感じて取り組みをしている「情報の非対称性」が大きなテーマとなった。子どもについての支援を必要としている方がデジタルデバイドの弱者となっているケースが多い傾向があるため、支援を必要として人に情報が届いていないという課題が大きいのである。

今後、情報交換などを続けなら連携して課題の対策とを講じていきたい。

取材を通して、助成先として選考させていただけたことを改めて良い選考ができていると確信することができました。
多くの方の寄付等のご支援を、フェアなスタートラインに立つことができない厳しい状況にある子どもたちの支援につながっているとご報告できることを嬉しく思います。

さらなる支援の輪が拡がることを期待しております。引き続きよろしくお願いいたします。

 

★小山代表が本を出版されました!

親子カフェのノウハウなどを懇切丁寧に惜しみなく提供した小山代表の思いの詰まった良書です。
親子カフェをはじめたいという方は勿論、居場所づくりの最高の指南書としてお薦めです。

おやこカフェ ほっくる 阿佐ヶ谷

http://suginamimama.com/

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