助成先取材レポート 公益社団法人ア・ドリーム ア・デイ IN TOKYO
郁文館グローバル高等学校社会福祉ゼミの協働プロジェクト 「あいりすプロジェクト」の活動として、公益財団法人つなぐいのち基金2018年度事業対象の助成先団体にインタビュー取材としてお伺いしたものをレポートします。
【高校生 インタビュー取材】
私たち、郁文館グローバル高等学校3年生は8月11日に公益財団法人つなぐいのち基金の助成先である公益社団法人ア・ドリーム ア・デイIN TOKYOさんを訪れ、取材・インタビューをさせていただきました。
団体紹介
事業内容
1.難病児の夢の実現と児と家族の思い出作りをする支援する滞在施設の設置、運営
2.日本の難病児、ご家族の支援事業
3.アジア諸国の難病児、ご家族の支援事業
4.その他この法人の目的を達成するために必要な事業
これまでの活動実績
2007年12月 前身となるNPO法人を設立
2008年 中核事業である難病児とご家族の東京旅行支援を開始
2009年 一般社団法人に改組
2010年 救急救命士の同行が必要な重症児の支援を開始
2011~13年 受け入れ件数を徐々に拡大
2014年 難病の兄弟を受け入れ(複数難病児の同時支援)開始
2015年 小児科医からなる選考委員会を設置。事例の少ない希少難病児の受け入れも開始。
2015年 内閣府から公益認定を得る
2016年 10年間で60病児・ご家族の受け入れを達成
2017年 救急搬送に携わる若手医師のボランティア参加
2018年 複数病児の同時受け入れによる分かち合い事業開始予定
団体のミッション
生命の危機にある病気と闘う子どもと家族に、東京での思い出をつくり楽しいひとときを過ごしていただく。誰からも支援の手が届かない人々の支援を行うことで、社会福祉に寄与する。
団体の活動内容
生命の危機にある病気と闘う子どもと家族に、主に東京で、楽しいひとときを過ごしていただくためのサポート業務。および、受け入れ施設の運営。
・滞在施設(スコレ研修センター:東京都大田区:株式会社ニチレイ様ご提供)
・食事
・東京滞在中の乗り物
・児童の希望する娯楽施設、スポーツイベントなどへの招待
・出前コンサート等の提供
今後の活動の方向性・ビジョン
私たちは、支援の手が届きにくい難病の子どもと家族に、東京での思い出作りのサポートをしています。こうした活動に、「特別な人」や「当事者」だけでなく、様々な形でどなたでもご参加・ご協力いただける仕組みを作りたいと思っています。
活動資金の支援、営業や渉外のビジネススキルのご提供、子どもたちの滞在中の介護ボランティアなど、みなさまがお持ちの力を重ね合わせることで、日本中に子どもの笑顔を増やしたい。病気の子どもとその家族はもちろん、元気な子どもも、いじめられている子もいじめている子も、そうした子どもたちの現状に心を痛めている大人も、みんなが支えあい夢を持てる社会をつくる力になりたいと思います。
団体目的・活動内容
日本には、原因が分からず、治療法も確立されていない、いわゆる子どもの難病が、700疾患以上あり、全国で約15万人の子どもが難病と闘っています。医学のめざましい進歩により、病気を克服して成長していくお子さんも増えている一方で、治癒が難しく、生命に危機のある病気と闘いながら生活しているお子さんもたくさんいます。難病と闘うお子さんの中には、学校へ行きたい、友達と遊びたい、旅行に行きたいなどの当たり前の望みを叶えられない状態の方も多く、ご本人だけではなく、ご家族にとってもつらく悲しいことでしょう。
私たちは、難病と闘っているお子さんとそのご家族が一緒に旅行をして、新しい体験をし、楽しい時間を過ごすお手伝いをするために、東京に滞在施設を設置・運営し、家族旅行のお手伝いをしています。
多彩な街・東京は、お子さんの夢を叶えるだけでなく、新しい体験、今までにない刺激を受けることができる魅力の宝庫です。難病のお子さんだけでなく、親御さんや兄弟姉妹全員が満たされた時間を持てるようお手伝いをさせていただきたいと考えています。
理事でもある津田和泉事務局長へのインタビュー
ビジョンとそれを達成するために今行っていることはなんですか?
病児と家族のための事業だということを忘れず、多くの病児と家族とのかかわりを持ち続けています。この旅行を一つの目標として、病児とご家族が治療の励みにしてくれたら嬉しいですね。生きる時間に限りがあると診断されている子も、安全面が担保できれば出来る限り受け入れるようにしたいと考えています。
また、「大規模な事業展開ができなくても、家族全員の夢をかなえる」といった細かい部分を丁寧に続けていけるよう、事業運営の改善を常に図っています。
今の活動をしている中での団体として見えてきた問題点はありますか?
今現在の問題点と言うよりは、悩みの一つにPRが弱いことが挙げられます。
今まで積み上げてきた努力を無駄にはせず、皆さんのような若い世代の方にも力を貸してもらって、今の状態を改善していきたいと考えています。
病児やご家族の中には、病気のことを知られたくない人も少なくありません。ですので、ご家族の様子はあまり表に出てきません。でも、ベテランのボランティアさんや理事、また写真などで表に出ても良いというご家族に登場してもらうことで、より広く事業のことを知ってもらえるかなと考えています。
団体活動でやりがいを感じるとき
ご家族たちが、招待旅行をきっかけに新たなコミュニティの場を作り出したり、SNSなどを利用して子どもの状態を他のお母様方と共有したりするなど、アクティブになっていくのは嬉しいですね。
また、「外出するのが怖くなくなった。近隣へよく出かけるようになりました」と、家族での時間に幅が出る様子を知らせていただくのも励みになります。
どうやって活動を広げていくか
それぞれ違う強みを持った他団体とのつながりや関わりを多く持てるようにして、お互いが今まで培ってきたものに+αして子供たちの夢を多面的に叶えたいと思います。また、私たちのことを、高校生をはじめ多くの方々に知ってもらい、たくさんの方の支援を受けながら事業に広がりを持たせていきたいと願っています。
具体的には、下記のステップで活動を拡げていくことを計画しています。
・STEP1 希少難病の子どもを一層積極的に受け入れる
小児科のドクターが多数参加しているのが当会の強みなので、気に掛ける点が多い病気のお子さんや重い症状の子でも、最大限受け入れをするように努めます。ターミナルステージに近いと診断されている子の受け入れも、旅行の可能性をドクター達と模索します。
・STEP2 PRの方法を改善する
皆さんのように若い世代の力も借りて、法人になってから今年で10周年を迎える中でPRの仕方を改善し始めています。今までやってきたことを活かしつつ、新たな方法を考えてみたいです。
・STEP3 病気や障がいの有無にとらわれない社会の実現
日頃の生活で、医療的ケアをしているお子さんと出会う機会は少ないと思います。知らないことを気にかけたりお手伝いすることはできませんから、まずは難病と生きる子供が日本にもたくさんいることを知ってもらわなくてはなりません。出会う場が増えると「自分に出来ることは何かな?」と考える人も増え、病気や障害の有無にとらわれず、外出や旅行が楽しめる社会の第一歩に繋がると感じます。
団体の現状と進め方
現在は、STEP2を達成するため、了承を得たご家族に写真や動画でWEBサイトに出てもらったり、旅行に同行してくれるドクターやボランティアの方々の様子もSNSで紹介することが増えてきました。医療的ケア児の旅の様子を多くの方々に知ってもらうことに重点を置き始めています。
取材を終えて
取材の全体を通し、津田さん、そしてア・ドリーム・ア・デイ IN TOKYOさんが難病児やそのご家族のことを第一に考え活動なさっていることが、とてもよく伝わってきました。
私たち高校生に対して、この取材を通して難病児や団体について知ってもらえることが「超嬉しい!」とおっしゃっていた津田さん。少しでもお手伝いができるよう、私たちも、今回学んだことを友だちや家族を始めとした周囲の人たちに伝えたり、実際にボランティアとしてア・ドリーム・ア・デイ IN TOKYOさんの活動に参加することを通じてより深く学んだりしていきたいと思いました。
【公益財団法人 助成選考委員会 選考委員 よりご報告】
◇助成対象事業 難病児とご家族の集い・分かち合い支援事業の啓発
医療的ケアがあり互いに行き来できない難病児とご家族を東京旅行に同時に招待し、彼らの交流の場を作る支援事業の10周年を際し、広報・啓発により次の10年のための基盤強化をはかる。
医療器具が常時必要な重症の難病児は、病院に行く以外は家庭で生活していることが多く、外出の機会がない。病児を24時間介護するご家族も外出の機会がなく、社会との接点が希薄になりがちである。
患者会や家族会がない希少難病と闘う病児とご家族は、同じ境遇にある人と出会い励ましあう機会がない。
お互いに存在を知っていても、医療器具を携えての個人旅行は経済的・心理的負担が重く、直接会うことが叶わない。病児の兄弟姉妹たちは甘えることを我慢していて、のびのび楽しむ機会が少ない。
上記についての社会的認知が少ないことも大きな課題である。
◇助成事業の内容 (申請書より抜粋)
【支援事業について】
1.旅行を希望するご家族の募集(2018年1月~4月)
2.病児主治医と弊会選考委員会医師団の判断を経て、受け入れ家族を内定(2018年4月)
3.事務局が各ご家庭を訪問し、ご家族との面談後に受け入れを最終決定(2018年4月~6月)
4.宿泊と移動の手配、ボランティア、テーマパークチケット・食事の手配(2018年6月~9月)
5.ご家族の受け入れ(2018年10月)・完了
*対象となるご家族
・日本国内に居住する3歳~18歳の難病児とご家族(両親、兄弟姉妹、祖父母)5組前後
・希望が多数の場合、遠方在住の子、兄弟姉妹がいる子、東京旅行に来たことがない子を優先する。
【啓発事業について】
旅行後に上記の家族についてのレポートを作成し、10周年記念リーフレットとして年度内に作成する。
また、旅行の動画をパッケージ付きでプレゼントする。”
“医療的ケア児の支援は類似の他団体でのサポートが難しく、年間に亡くなる重症児・希少難病児(7500名程度)とそのご家族に、生きる希望を持ってもらう。
リーフレットを作り、30口の法人賛助会費(300万円)、20口の個人会費(20万円)、サポーターの寄付(80万円)を募り、本事業を継続的なものにする。”
“24時間のケアが必要な病児とご家族が、旅行や他家族との交流を通じて励ましあい生きる力を取り戻す。希少難病で患者会や家族会のない病児とご家族に、旅行を契機に地域や他の家族との接点を増やしてもらい、自宅と病院以外の居場所が増えていく。
上記の社会的認知を向上する。”
◇助成事業の実施状況
助成対象事業は、2018年12月に家族同士のつながりという素晴らしいコミュニティ形成と大成功の内に完了しています。
事業終了時に取材させていただいておりましたが、今回「コロナ禍で頑張るつなぐ助成先団体」特集として、改めて取材とレポートをアップさせていただきました。
◇助成選考委員会 選考委員から
津田事務局長(兼理事)はとてもエネルギッシュな方です。心ある多くのボランティアを巻き込み、航空会社、ディズニー、宿泊施設などと粘り強く交渉し、普段我慢を強いられている兄弟や複雑な思いの祖父母なども含め難病家族の夢を実現させています。別ページでご紹介している交流会にもご一緒させていただきましたが、本当にでやさしく暖かな雰囲気に包まれた素晴らしい場でした。
しかし、現状のコロナ禍では重症化リスクの高い難病児と家族の東京旅行を実現することは大きなハードルが立ちはだかったいます。
そのような中ですが、夢の旅行の目的の一つとして、難病家族同士の交流があります。今だからオンライン会議ツールなどを使って全国の物理的な距離のある方々を「つなぐ」ことも計画されています。
厳しい環境下であっても、少しでも実現の可能性を追求し、できることを模索して歩みを止めない津田事務局長には頭が下がる思いです。
助成先として選考させていただけたことを本当に誇りと感じております。
多くの方の寄付等のご支援を、厳しい状況にある子どもたち、ご家族の支援につながっているご報告できることを嬉しく思います。
支援の輪がと活動がさらに拡がることを期待しております。引き続きよろしくお願いいたします。
夢の東京旅行の交流会の取材レポートは コチラ >
コロナ禍で頑張る団体特集 取材レポートはコチラ(Coming Soon)
現在取組中のクラウドファンディングのご紹介
ラグビー選手が難病児の夢を全力で応援します-もっと優しい筋肉|クラウドファンディング|A-port-朝日新聞社
現状を打破するため今できる取り組みの一つ、難病児にラガーマンがエールを送るプロジェクト!
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