日本の子どもの6人に1人が貧困という事実
平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の子供の割合を示す「子どもの貧困率」が平成24年時点で16.3%と過去最悪を更新したことが厚生労働省の国民生活基礎調査で分かりました。前回調査の21年時点から0.6ポイント悪化しています。子供の貧困問題はますます深刻化しています。厚労省は子供の貧困率が悪化した原因について「デフレ真っただ中の経済状況で子育て世帯の所得が減少したことが最大のダメージだ」と分析しています。大人も含めた「相対的貧困率」は前回調査から0.1ポイント悪化の16.1%で、昭和60年の調査開始以降で初めて子どもの貧困率が上回りました。
海外では貧困の増加は治安の悪化や犯罪の増加につながるとして、社会的コストの試算に入れることもあるといいます。「米国の州別データでは貧困層が増加すると経済成長が鈍化するという結果も出ています。
政府介入後に子どもの貧困率が悪化する国ニッポン
日本の再分配政策は非効率で、貧困解消に力不足です。社会保障の多くが幅広い高齢者向けで、本当に困っている高齢者や若者、子どもに向かっていません。2013年予算ベースでは社会保障給付110.6兆円のうち、子ども・子育てにはわずか4.8兆円のみの割り当てです。
「再分配による相対的貧困率の改善率は50%で、OECD30カ国中25位です。
日本に金融資産は高齢者に偏っている
一方で、日本の金融資産の大半は高齢者によって所有されているという現実もあります。5年毎に発表される消費実態調査(平成21年)によれば、60歳代が全金融資産の33%、70歳代が28%を有しており、金融資産の61%が60歳以上の高齢者で保有されていることが分かります。
こうした金融資産の偏在は、近年の「被相続人の高齢化」の進行もあってその流れに歯止めがかからず、再配分がうまく機能していないのが現状です。
このような社会状況下、「民間が担う公共」の役割が大きくなっていますし、それを担うセクターの役割はますます重要になってくるでしょう。