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日本画家 藤島博文さん

次代を担う子どもたちへ Vol.4

日本画家 藤島博文さん

By In 次代を担う子どもだちへ 日本の将来のために On 2016年2月29日


小学生に教える機会などでお伝えしている事は、東洋的思想の認識というのでしょうか。 日本画から見た美意識になります。

よく言われる「芸術は爆発だ」というのは西洋思考かと思いますが、そういうエネルギー的、自己中心的なものではなくて、爆発とは反対のもっと自分の内面に向かっていく様な美意識や自分の見つめ方、その中にある美伝子というものを覚醒させて行きます。 他人に対してではなく、自分の内面に向かって行くというのでしょうか。そういうものが日本画や東洋芸術には、伝統的に謙虚に表れています。 その根底には古神道、一木一草に神が宿ると言い、八百万の神などがあり、そういった面から花鳥風月というものを教えて行きます。 花や鳥でもただ植物的、非情(神経の無いもの)、有情(神経や心のあるもの)とあって、一木一草の考え方としては有情になります。

 

ここにはよく筑波の学者さん達がいらっしゃいますが、地球環境を壊すと狂牛病やPM2.5、地球温暖化など何か色々あるとは思いますが、怖いしっぺ返しがあるよとおっしゃられます。 それを私は「環境恐怖論」と言っております。環境がしっぺ返しをして怖い事を人間に与えるようになるという事です。 そのような「環境恐怖論」と同時に、私は「環境感動論」を唱えております。

環境には花鳥風月という人知を超えた様な美がたくさん潜んでいて、その環境を感動し、美を救い上げて皆さんにお届けするのが日本画家です。 環境の美しさを、例えば1枚の葉っぱでも見える美と見えない美があるんだよ、という風に子供の時から気付いて貰えるように教えています。 見える美というのは色や形、例えば葉っぱの緑色、黄緑色やひとつひとつの形です。 逆に今度は見えない美も見るのが、本当の絵を書く人の態度、見方なんだという事も教えるのです。

どういう事かと申しますと、1枚の葉っぱでも、春は芽が出て秋に枯れて落ちるまでに様々な使命があり、緑という色は人の気持ちを和やかせる事が出来る上に、木陰を作って温度を低くし、光合成をして空気をキレイにしてくれる。 地球上の空気をキレイにした後は毛虫に食べさせて、その毛虫をまた小鳥が食べて生きて行くという事など、共生の原点になるという事です。 草原でしたら、草食動物が草を食べて、その肉を人間が頂く事になる。 また、何もそういうお役目をしなくても無事に秋に枯れ葉となって落ちたものは、カブトムシの幼虫が食べたり、ミミズやバクテリアが食べて地下の栄養になり、来年また自分が芽を吹くための栄養になっている。 緑色の一枚の葉っぱでも、ひとつも無駄なく生きていますよね?皆を生かす原点になっているのだという事を伝えます。 そして、どんな葉っぱでも同じ葉っぱは一つも無いという事。何百万枚あろうが、同じ形をした葉は一枚もないのです。

これは人間と同じで、同じ日本人でも皆違う。黒人とももっと違う、という風に植物でも1本の木に葉っぱが何千万枚付いたとしても、一枚として同じ物はないのです。 それらを「見えない理」と言い、そういうものも深く考えながら絵を書くと、もっともっと深い絵を描く事が出来、色々なものに気付いていきます。

絵は、ただ色をつけて形を表すだけでは無いのだという事です。 そういう思想を通して、その奥にある美を見つめる事が大切であるという事を指導しております。

 

また、絵がいくら上手に描けたとしても、その人の人生が幸せになるとは限りません。 絵が上手いのだ、と鼻高々で高慢な人間になるかもしれないし、絵が上手く描けない人は、自分はどうして表現力が無いのだろうと萎縮する人間になるかもしれません。

私の指導はもちろん絵は上手くなりますが、それと同時に人間力だったり、物を考えたり見つめたり、科学者の様に一枚の葉っぱもじっくりと見つめて、そこから何か自分で疑問を投げかけて答えを出して行くという科学的な目、一つの絵を仕上げて行く持続力、持久力を育みます。 色々なものを描くよりも、たった一つの物をしっかりと何時間もかけて描かく事により、 飽きない持久力や忍耐力というものを、絵を通しながら培っていくという教育を目指している訳です。

小さな頃から、見える美・見えない美を通しながら親に感謝し、友達をいじめてはいけない、ましてや自殺なんかとんでもないという理論です。 一言で言えば人間力です。

日本画の写生(生=対象物の生き生きとしたモティーフを写す=見える美)と、写意(対象物の心を写す=見えない美)を通して、そういう所まで触れて行きます。 そういうものの見方は子供だけでなく大人の方でも持ち続けていて欲しいと思います。

 

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取材を終えて( 鵜居由記衣)

人間は生きているこの一生を、より幸せな明日に向かって少しでも心を清らかに美しく磨き、慈と愛の利他行に励む事が大切と日々そのように過ごし
小学校や中学校では「見える美•見えない美」をお話しになりそこから人間力が養われて行くと伝えてらっしゃいます。

美を感じる心は気持にゆとりを持つことでもあり、子供も大人も常に持てていたら、人を気遣い優しくなれるのではないしょうか。お目にかかり澄んだ気持ちになりました。



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